VAPE(電子タバコ)と健康:鍼灸治療の視点から考える

電子タバコと健康・東洋医学の視点から考えるのタイトル

私は喫煙習慣はないのですが、VAPE(電子タバコ)が鍼灸治療・東洋医学の観点からどのような影響が体に起きるのかなどをまとめてみました。

VAPEとは

VAPE(ベイプ)とは、電子タバコの一種でリキッド(液体)を沁み込ませた綿を加熱して発生する蒸気を吸うデバイスのことを指します。一般的な紙巻きタバコとは異なり、燃焼を伴わないためタールが発生しない、またニコチンも含まれないため人体に害はないとされています。
(ニコチンが含まれるものもあるが、日本では規制されている)

また様々なフレーバー(フルーツ、ミント、タバコ風味など)があるため、リラックスのために使用する人も多いようです。

しかし、VAPEが本当に健康に害がないかどうかというのはまだ明確な結論が出ていません。特に呼吸器系への影響や長期的な健康リスクは不明な点も多いのでその辺りを鍼灸治療の観点からも考えてみたいと思います。
 

VAPE(電子タバコ)
5本セットで3000円くらい(使い捨て)
1本は人にあげてしまいました

電子タバコとVAPEの違い

広義ではVAPEも電子タバコの一種なのですが、厳密には違いがあります。

VAPE電子タバコ
リキッドを加熱し蒸気を吸うタバコ葉を加熱してニコチンを摂取する
タールがないニコチンを含むことが多い
豊富なフレーバーが楽しめるタバコ本来の風味が強い
日本ではニコチン入りのリキッドは禁止加熱式タバコ(IQOSなど)は合法

呼吸器への影響と鍼灸治療

一番気になるのはここですよね。
現状ではVAPEは紙巻きタバコよりも害が少ないとされていますが、長期的な健康リスクはまだ解明されていません。

VAPEの原型とされる電子タバコが中国で開発されたのが2003年ですので、まだVAPEが登場して20数年しか経っていません。ですから実際にVAPEによる健康被害があるかどうかのデータはまだまだ乏しいと言えます。

しかし最近では、VAPEの使用が原因と疑われる「電子タバコ関連肺疾患(EVALI)」も報告されており様々な医療機関や禁煙学会などで議論が続いています。
 

EVALIの主な症状

  • 呼吸器症状(呼吸困難、息切れ、胸痛など)
  • 全身症状(発熱、悪寒、倦怠感など)
  • 消化器症状(腹痛、吐き気、嘔吐など)

 

これもまたハッキリと解明されたわけではありませんが、VAPEや加熱式タバコに含まれるプロビレングリコールという物質が肺と気管支に悪影響を与えるのではないかと言われています。
紙巻きタバコに含まれるプロビレングリコールが約14ugに対して加熱式タバコは約20~500倍のプロビレングリコールが含まれます。

さらにVAPEのフレーバーに含まれる添加物(香料)にも気管支と肺胞に炎症を引き起こす有害作用があることが示唆されています。

東洋医学における肺の役割

東洋医学において、肺は呼吸や体の防衛機能(免疫)に大きく関わってくる臓器です。
体を巡る津液(唾液、胃液、汗、リンパ液など)の流れを調整し、皮膚の調整を行い外邪から身を衛り抵抗力を高める役割を担っています。
鍼灸治療では呼吸器の機能を改善し、体内の気・津液の流れを整えることで、咳や息苦しさの緩和を図ることができるとされています。

タバコや電子タバコなどで息苦しさを感じる場合には、鍼灸治療で肺の負担を軽減するアプローチを試してみるのも良いと思います。
 

自分でできる肺のツボ

鍼灸治療では以下のツボを刺激することで、呼吸機能の改善が期待できます。息苦しさやのどの違和感を感じる場合に、ご自宅でのセルフケアとして取り入れてみるのもお勧めです。

1.天突(てんとつ)
・場所:鎖骨の中央にあるくぼみ
・効果:のどの痛みや息苦しさを和らげる
・刺激方法:優しく押すように5秒ほど刺激する

2.肺兪(はいゆ)
・場所:背中の肩甲骨の内側、第2・第3間の椎骨の両脇
・硬化:肺の機能を高める。咳や喘息の緩和
・刺激方法:優しく押すように5秒ほど刺激する。温めるのも良い

3.尺沢(しゃくたく)
・場所:肘の内側。腕を曲げた時に出来るしわの親指側
・効果:咳や気管支炎の症状を和らげる
・刺激方法:優しく押すように5秒ほど刺激する。

これらのツボを日常的に刺激することで、呼吸器の負担を軽減し、肺の健康のサポートが期待できます。鍼灸治療においてはこれらのツボに加えて体全体の調整も含めて行っていきます。
 

鍼灸と禁煙

VAPEを禁煙補助の道具として使用する人も多いようですが、鍼灸治療でも禁煙をサポートすることが可能です。耳にあるツボは禁煙外来でも取り入れられている程です。

鍼灸による禁煙サポートのポイント

  • 耳ツボ(神門など)を刺激することでたばこの欲求を抑える
  • 自律神経を整え、イライラやストレスを軽減する
  • 呼吸機能を改善し、禁煙によるストレスを和らげる

禁煙グッズなどと並行して鍼灸治療を受けることでよりスムーズに禁煙へ移行できるかもしれません。
 

実際に1週間VAPEを吸ってみた感想

そもそもは義理の母がヘビースモーカーなのですが、最近は家でも吸うと近隣から苦情がくるとのことでなんとか煙の少ないものはないか・・ということでVAPEを検討したのが最初でした。

加えて健康的にはどうなんだろうという興味本位で今回試しに一週間ほど吸ってみました。
購入したのはVAPE使い捨て(5種類のフレーバーで3000円弱)。1本で2000回くらい吸える(レビューを見ると『そんなに長持ちしない』という意見が散見されるので実際は多分もっと少ない)とのこと。
1本5~600円でタバコ1箱分と考えると、タバコよりコスパは良さそうですね。
実際禁煙のためにVAPEを始める人も多いようです。

吸い心地は爽やか

吸い口から吸い込むことでリキッドが過熱されて水蒸気が出てきます。思ってたよりもしっかり煙が出るのでタバコを吸っている気分にはなります。
肺にガツンとくる感じはまったくなく、水蒸気を吸い込んだ時と感覚は同じです(実際水蒸気吸い込んでるんで当たり前ですが)。

フレーバーはミント、パイナップル、ブルーベリー、コーラ、ピーチとありましたが、人工甘味料の味という感じでかなりしっかりずっしり甘いです。匂いもかなり甘いです。
隣で吸っている人がいたら、甘い匂いが漂ってくるくらいには甘いです。
 

妙に息苦しい

新しもの好きではありますし、ガムを噛むような感じで口の中も甘い味が広がるので「これで健康に害がないならアリかもな」なんて思いながら吸っていました。と言っても1日の中で10~20回くらいでしょうかね。
火を点けるわけでもないのでポケットに入れておいて吸いたい時にスッと吸えるのも利点でした。あと厳密にはタバコではないので喫煙所なくても吸えるらしいです(お店によっては止められるかもしれませんが)。

吸い始めて3日くらいしてから妙に息苦しさを感じました。咳は出ないのですがなんか胸が詰まるような感じがする。

改めて申しておきますが、私は喫煙習慣ありません。タバコ吸いません。
時々治療院に初めて来られた方が「先生タバコ吸うんですか?」と言われることがありますがそれはお灸の匂いです。
 
喫煙習慣がまったくない人間が急にVAPE吸い始めたわけですから肺もビックリして多少そういったこともあるのかもしれませんが、こればかりはまだ何とも言えません。
ですがやはりちょっと息がヒューヒューする感じもするので、個人的な意見としては


何も害がないわけはないだろう。


です。
長期的に使えば何かしら影響が出てもおかしくはないのかな・・という気はします。
なのでもったいないですが、私のVAPE体験はここで終了です。
5本セットじゃなくて1本にしておけばよかった・・。

電子タバコの健康被害などについてはマサチューセッツ総合病院や日本禁煙学会などでも定期的に症例検討会も行われているようですし、今後も動向を見守る必要がありそうです。

というわけで、実際にVAPEを吸ってみたわたくしの感想でした!

何が健康のためになるのかというのは難しいものですね。運動だってやりすぎればケガなど健康被害も出るわけですし、VAPEを吸うことでリラックスできてゆっくりとした時間を過ごせる・・と考えればいいものかもしれませんし・・悩ましい。
 

まとめ

実際のところはまだ不明な点も多いですが、使用して肺や呼吸器系に不安を感じる場合には使用を中止して医療機関に罹ることをお勧めします。鍼灸治療でも呼吸機能を整え、体のバランスを保つなどのサポートケアは可能ですのでどうぞお気軽にご相談ください。
また、禁煙を考えている方も鍼灸治療を組み合わせることでより効果的にタバコを止められるかもしれません。東洋医学的な視点も取り入れてご自身に合った方法を探して見てはいかがでしょうか。

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