武蔵小金井の「地域に根付いて病気を根付かせない鍼灸院」せきぐち鍼灸院の院長関口です。
今回は私が経験してきた汗疱症についてのお話です。
汗疱症とは
汗疱(かんぽう)は手の平や足の裏の皮膚表面にプツプツと小さな水疱(みずぶくれ)が数~十数個でき、強い痒みや痛みを引き起こすものです。水疱ができた数日後には乾燥し始め、皮が剥けて、ひび割れが起きてきたりします。
私は23~24歳くらいの頃に手のひらに汗疱症が出るようになり、色々な皮膚科で診てもらってきた経験があります。
ここでは汗疱についてのお話、私が行ってきた対処法などをお伝えしていきたいと思います。
汗疱の原因は汗
汗疱という字の通り汗疱の原因は汗にあります。過度の発汗により汗が汗腺で詰まってしまい皮下で水疱を形成してしまう状態です。
水疱が形成され、そこが破れると痒みを伴い、またそこから皮が剥けて次第に広がっていきます。
一カ所一カ所は自然に治癒することもありますが、複数個所にどこかしら絶え間なく発症したり、繰り返し発症することも多いので非常に厄介なものです。
私の場合は指先にプツプツと小さな水疱ができたのが最初でしたが、次第に小指側の手のひら部分や指の間など広範囲に出るようになっていきました。
徐々に範囲が広がっていく様を見続けるのはとても辛く、どこまで広がるのかという不安感にも襲われたものでしたが、結局私の場合は手のひら全体に広がり、手のひらの皮はほとんどなくなるところまで進行してしまいました。
皮膚の最外層である角質層は硬い層であり、外部からの物理的な刺激や微生物の侵入を防ぐ役割があります。その皮膚がなくなってしまうと熱刺激や軽く物が当たるだけでも痛く感じてしまい日常生活にも支障をきたす程でした。
原因はなんとなくわかっていた
元々アトピー体質だったこともあって最初はアトピーだと思っていたのですが、どうにも症状が落ち着く気配がないのと、アトピーで水疱ができることはあまりないので皮膚科に罹ることにしました。そこで初めて「汗疱」という名前を耳にしました。
原因は汗ということで私には思い当たる節がありました。それはゲームです。
当時PSP(プレイステーションポータブルという携帯型のゲーム機)のゲームにハマっており、移動の電車の中や家で1日に数時間遊んでいました。熱中すれば当然手に汗をかくわけで、しかも水疱のできる場所が丁度PSP本体に手が当たっている箇所でしたので、おそらくそれが原因であることは容易に想像できました。
とはいえ趣味であるゲームをピタッと止めることもできなかった私は、どうにかしてゲームをできないかと対処法を考えることになります。
我ながら愚かだったと思いますがその悩みを経験したからこそ、今、同じように趣味が原因でどこかが痛いと仰る患者様にも、「なんとか趣味を続けながら良くしていきましょう」という当院の治療方針に繋がっています(いい話ですね)。
綿手袋が外せない日々
広範囲に水疱ができる→かゆい→それが破れて水疱が繋がっていく→そこがひび割れて痛い→皮が硬くなりベロンと剥ける→水疱ができる、というループを延々と繰り返すのが汗疱です。
ですができる場所はなぜか手のひらと足の裏だけという不思議な疾患です。皮膚科では手の平の汗腺を手術で切るという方法も提示されましたが、正直「・・・」という気持ちでした。
東洋医学に身を置く人間としても、これは根本的に何か解決する方法はないか模索したいという気持ちでした(ゲームやめればいい話なのですが)。
まずは皮膚を刺激から守るという意味で綿手袋を着用して過ごすことにしました。外出する時も人の目など気にしていられません。出かける時も寝る時も、時にはお風呂に入る時も綿手袋を着けて過ごしていました。
手袋を着ければ防護されるわけですから痛みは大分楽になります。また皮が硬くなりささくれだっているため触るとガサガサとひっかかってしまうのですが、綿手袋をすることでそれも無くなりストレスも軽減されます。
ここから私は5~6年に渡り綿手袋が手放せない生活となります。ベランダには常に綿手袋が干してあるという、外から見たら少し異様な住人だと思われていたかもしれません。
最も効果があった対処法とは
17~18年以上に及ぶ汗疱症状との戦いの中で私が個人的にこれだと思えた対処法をお伝えしていきますが、当然症状や環境などは人それぞれですのでこの方法が万人に当てはまるというものではありません。
ですが、もし汗疱で悩んでいる方の参考になれば幸いです。
市販されているスキンケアだとこの2つ
薬局に行った時にたまたま試供品で置いてあったCureという、液状クリームで手の平で伸ばしてクルクル擦ると古い角質がポロポロ取れるという商品。
これを何の気なしに試してみたところ、すごい量の角質がボロッボロ取れました。自分でもビックリするくらいの量だったのですが、これをやってから数日の間手の平がスベスベになってすごく調子が良かったのです。
それ以降薬局に行くことがあると試供品で試していました(購入しろと怒られそうですねすいません)。
それとオードムーゲという肌荒れ、あれ性、あせも、ひびなどに効くスキンケア医薬部外品。これもつけると数日は調子が良かったです。
色々な保湿液やクリームを使ってきましたが、この2つは私の汗疱症状にすごく合っていたと感じました。
外用薬だとこれが良く効いた
皮膚科に罹り、いくつかステロイド治療薬も処方されてきました。
両手の指全部に症状が出て、指が曲がらないくらいにひどく荒れていた時期は全指にまずステロイド外用薬を塗って、その上に亜鉛華難航(白くて重くてべったりとした軟膏)を塗って全部の指にガーゼを巻くという、なかなかに手間のかかる事をやっていました。
皮膚科でステロイドを処方された方も多いと思いますのでなんとなくお分かりかもしれませんがステロイドは劇的に効くとても良い薬ではあるんですが、根本的な治療ではないので結局またしばらくすると水疱が出てきてしまうんですね。
そして長期に使用するとなると副作用の心配も若干ありました。
そこでふと思い出したのが、かつてアトピーの治療薬として私が使用していた非ステロイド軟膏のプロトピック軟膏です。
プロトピック軟膏は非ステロイド薬なので長期使用が可能であり、ステロイドでは制限されている顔などにも使え、子供や乳幼児も使用することができる炎症・かゆみ・発赤を抑える働きがある外用薬です。
私はこの薬がアトピーにものすごく効果があったので、汗疱の炎症も似たようなものだろうと思い皮膚科の医師に相談して処方してもらいました。
これがビタッと的中。
今でも症状が出始めた時にはプロトピック軟膏を塗って症状を抑えています。
根本的な対処はこれ
私の場合はゲームなどで緊張・興奮して手汗をかいた後、深酒をして寝た翌朝、手を使う作業を行った後に明らかに症状が悪化していました。そして汗をかかない冬場は汗疱が出ることはほとんどなく、汗をかく夏場にひどくなります(体感で気温が27度以上になると出る)。
つまり問題はいかに汗をかかないか。これに尽きると思われます。
私が夏に行っている対処法は「濡れ手ぬぐいと扇風機」です。
家にいる時は濡らして絞った手ぬぐいを肩に広くかけて扇風機の風を浴びます。首すじを冷やすことでカラダ全体の体温が下がります。
外出する時は濡らして絞った手ぬぐいを前腕部分全体に広くグルグルと巻き付けます。今でいうアームカバーみたいなものですが、自然の風が当たると結構ひんやりします。
昨今の研究で手の平を冷やすことで冷えた静脈が心臓に戻っていく為カラダ全体が冷えると言われていますが、似たようなものですね。前腕を冷やすだけでも心なしかカラダ全体が暑さから楽になります。
カラダを触って熱が籠っていると感じたら即冷やすようにしています。
これを始めてから手の平に水疱が出ることがかなり減りました。加えてエアコンを上手に活用するというのも大事だと思います。
まとめ
以上が私から提案できる汗疱の対処法になります。これにより長くつけっぱなしだった綿手袋ともおさらばできましたし、なんとか今は上手く汗疱と付き合えています。
汗疱で悩んでいる方も多いと聞きますし、最近は子供にも増えてきているとも聞きます。私のつたない体験談が少しでも同じ汗疱で悩まれている方の一助になれば幸いです。
長い間お付き合いありがとうございました。
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