脊柱管狭窄症の臨床症例１
５分歩くと痛みと痺れが出る（70代女性）

武蔵小金井の「地域に根付いて病気を根付かせない鍼灸院」せきぐち鍼灸院です。
脊柱管狭窄症で当院に来院されて改善した方の症例を一部ご紹介させていただきます。
脊柱管狭窄症で鍼灸治療を受けようか悩まれている方のご参考になれば幸いです。
　
　

DATA

来院者／70代女性
主訴／臀部から脚全体の痛みと痺れ
通院期間／2023年5月
回数・頻度／15回・１～２週間に1度位

脊柱管狭窄症の症状と経過

１０年前に症状が出始めて、最初は右脚に痛みと痺れが出ていたのが左脚に変わり、今は右も左も両方痛みと痺れが出る。両足の指先はなんとなく痺れている感じがある。
整形外科でレントゲンを撮った時に「腰椎の４番と５番の脊柱管狭窄症がある」と診断された。

５分歩くと痛みと痺れが出て５分程休むと快復する。日常にそこまで支障はないものの買い物などは辛い。
整形外科に罹っていたのは２年前が最後。

所見

腰の後屈（上体を反らせる動き）で痛みが出る。前屈（前に屈む動作）は楽で柔軟性もある。
運動は特にしていないが毎日散歩と買物で４～５千歩くらい歩く。
ストレッチは家で軽くやっている。腰自体の痛みは特に出ていない。
　
　

脊柱管狭窄症の鍼灸施術

＜初回＞
一通り腰の動きなどをチェックした後、全身調整の整体から行っていく。鍼治療は以前にも受けていたとのことだが、ここでの鍼灸治療は当然初めてなのでまずは様子を見つつ軽めの刺激量で行っていく。
運動療法も行い、更にご自宅でできる簡単な腰のストレッチをお伝えして終了。
狭窄症自体は骨の変形なのでそれは元に戻らないということと、今後もしっかりとしたケアが必要になることをお伝えしていく。

＜2回目＞
前回の治療後３～４日くらいは割と楽だったとのこと。
遠出をすることは基本的にはないとのことだったので、自宅でできる運動法をお伝えして実践していただくことに。

＜３回目＞
久々に病院へ行ってＣＴを撮ってもらった。「骨自体が潰れたりはしていないが、狭窄症はある」とのこと。
本人としては将来歩けなくなってしまうのではないかという不安があるが、病院では手術の話は一切でなかったとのこと。
「まずは１０分歩けることを目指しましょう」と鍼灸施術を通常通り行っていく。

＜４回目＞
調子のよい日が増えてきたとのこと。前原坂を登って駅まで休まず歩けたとのこと。

＜７回目＞
歩いていても、気にしなければ気にならないくらいにまで臀部と脚の痛みと痺れが軽減してきた。
調子のよい日も多いとのことで、通院間隔を２週間に１度に空けてみる。

＜１２回目＞
最初に来た頃よい大分調子が良く、休憩なしで買い物して帰ってこられる日もあるとのこと。
台所に立っているとジワ～っと臀部に違和感が出るが早めに座って休むようにしている。
更に間隔を空けてもよいか？とのことだったが、ここでぶり返しても恐いのでもうしばらく２週間に１度で頑張って通院してくださいとお伝えした。

＜１５回目＞
波はあるが前みたいに休む場所を探しながら歩くことはなくなった。多少調子が悪い時も翌日まで痛みが続くこともなくなった。
ただ両足の指先の痺れはうっすらと違和感があるくらい出ている。
「いつ頃卒業できますか？」と聞かれたが、狭窄症自体は卒業することがないので定期的にしっかりケアを続けていかないといけませんよと説明。しかし大分調子も良いので１ヵ月に１度くらいの通院間隔で今後は様子を見ていくことに。
　　

脊柱管狭窄症の鍼灸治療考察

脊柱管狭窄症の症状の出方も様々ですが、多くは歩くと痛みや痺れが出て、少し座って休むと快復するということが多いです（間欠性跛行）。筋力の低下や慢性的な筋肉の凝りによって骨に負担がかかり変形していることが多いもので、この方も背中から腰にかけて筋肉に強い張りがありました。鍼灸施術を行っていく中で少しずつ筋肉の緊張がほぐれ、それに伴って脊柱管狭窄症の症状も落ち着いていきました。
症状が落ち着いていくにつれてのど元過ぎれば熱さ忘れるではないですがここでまた元の生活に戻ってしまうと症状が再発してしまう可能性は十分にあります。狭窄症はぎっくり腰とは違って「治ったからはい、おしまい」というものではないということを施術者も患者も十分認識しておく必要があると思っています。（同じ疾患であっても、程度、経過によって治り方には個人差があります。）
　
　