腰椎ヘルニアの臨床症例２
痛みと痺れで歩けない（80代男性）

「武蔵小金井の「地域に根付いて病気を根付かせない鍼灸院」せきぐち鍼灸院です。
腰椎ヘルニアで当院に来院されて改善した方の症例を一部ご紹介させていただきます。
腰椎ヘルニアで鍼灸治療を受けようか悩まれている方のご参考になれば幸いです。
　
　

DATA

来院者／80代男性
主訴／痛みと痺れが強く歩けない
通院期間／2022年6月～7月
回数・頻度／7回・1週間おき位

腰椎ヘルニアの症状と経過

4カ月前から右臀部～右足首にかけて痺れが出始めた。原因は自分でもよく分からない。

病院で検査を受けたところ腰椎の4番と5番にヘルニアが見られると診断された。

痛みは波があり痛くて歩けない日もあり車椅子で移動している。
運動は今は太極拳。昔はゴルフをやっていたとのこと。
過去にぎっくり腰など大きな腰痛をしたことはない。　
　

所見

奥様が押す車椅子で来院された。歩行もかなりきつそうで一歩ずつ慎重に歩くような状態。
動きによる痛みの増悪は特になく、寝ている間も痛くて目が覚めることはないそう。
脚はむくみが強く出ている。
　
　

腰椎ヘルニアの鍼灸施術

＜初回＞
腰の動きでどの動きで痛みが出るのか痺れが出るのかなど一通り検査をした後施術を開始。
かなり症状が強く出ているのと、ご高齢ということもあり初回は整体は行わずに鍼とお灸だけで様子を見ていくことに。

＜２回目＞
病院で電気治療を受けた日の後に痛みが強くなってしまったとのこと。やはり強い刺激はよくない反応が出ることがわかったので、今回も慎重に鍼とお灸を行っていくことに。
この日も車椅子と杖を2本持って奥様と来院された。
脛が一番痛みが強いと仰っていたので、その痛みは腰からきている痛みだと説明をして、とにかく腰を養生してくださいとお伝えして終了。

＜４回目＞
家出座っている時は痛みは出ないが、右足を地面につくと痛みが出るとのこと。
右足だけが冷たいのでうまく血流が回っていないと思われる。
今回から整体治療もプラスして施術を行っていく。

＜５回目＞
調子があがってきてソ～ッと足をつけば痛みなく歩ける。電車に乗って移動もできたとのこと。

＜６回目＞
杖1本で歩いて来院された。
痛みの場所が腰と右足首辺りに限局されてきた。
大分動けるようになってきたので、ご自宅でできる簡単な運動法もお伝えして実践していただくことに。

＜７回目＞
脚の痛みがまったくなくなったと本人も「嘘みたい。なんで？」と笑って仰っていた。
杖が無くても一応は歩けるので、少しずつ歩く距離を伸ばしてみているとのこと。
うまくヘルニアが収まったのではないかと思われるが、油断せずに養生だけ続けてくださいとお伝えして終了としました。

　　　

腰椎ヘルニアの鍼灸治療考察

相当ひどい状態であることが車椅子で来院された瞬間からわかっていたのでかなり慎重に施術を行うことができました。ご高齢で運動習慣がない方の場合（この方は運動習慣あり）整体などで少しカラダを動かしただけでも筋肉痛が起きてしまうことがあり、それを「施術を受けたから悪化した」と勘違いをされてしまうことも少なくないので注意が必要である。
この方の場合は運動習慣があり体躯もしっかりされていたのだが、年齢を考えて最初は刺激をかなり軽めにしていきました。それでもこうして十分効果を上げることができたので、刺激量の調整がうまくいった症例ではないかと思います。
車椅子→杖→杖なしとドンドン回復していく様を見られて私も非常に嬉しく思いました。
（同じ疾患であっても、程度、経過によって治り方には個人差があります。）
　
　